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Talv / Üksildus (2015)

A. という人物による、イタリアの1人アトモスフェリックブラックメタルプロジェクト。
その2ndアルバム。
Silentium in Foresta Recordsから25枚、Misanthropia Recordsからは66枚限定でリリースされた。
尚、bandcampではname your priceな模様。

殊更に久しく個人輸入をした。
実の所、絶対的にしなければ手に入れられない以外に行うことはない質なのだが、
一聴した際に、Lunar AuroraのHoagaschtと同様の、密生林を掻き分け暗澹に進むかの如きである歪みの深淵に憑りつかれてしまった為、Misanthropiaから送ってもらった次第。

その焦点となる本作は、シンフォニックブラック以降のLunar Auroraと、一昔前のNasheimが合いまったぜみたいな、ノイジーな幻想サウンドをひけらかしている。
内実としては、概ねミドルテンポのタメを効かせたドンシャリなドラミングと、長く続く気鬱なアルペジオを主としたリフレインがトランス感覚を誘発した結果、
その気鬱な青年の危うい精神性の中に、微々たるドラマ性を想える哀感とミニマムの濃厚な代物である。
やはり長く続くだけ、その物悲しい陰性で情感的なリフレインが琴線に触れる。

そして、そういったノイジーかつデプレッシブな因子が延々と幽玄に醸し出されるのと同時に、死の淵からの誘いにも似た寂寥の呻き声が、木霊するのだ。この全体の雰囲気が秀逸で半永久的に聴いていたいところ。

と言うわけで詰まる所では、徹頭徹尾、密生林を掻き分け暗澹に進むかの如き陰性の深淵に触れている事になるのだが、
♯4の音なんかは比較的若い、言わばインディーでホープのある趣きも感ぜられる。
哀感の強い精神弛緩アトモスなDSBMで質実に纏まっているのだが、終曲にはAphex Twinすら想起させるのだ。

畢竟その一人プロジェクトらしさも相まい、
昏い魅力の詰まった、寂寥のもらい泣き盤に仕上がっていると言った形で今回は纏め置きたい。

余談であるが、♯4のイマジナリーは、久生十蘭の湖畔での終盤の情景と共振する、
悲哀と絶望の果ての逃避、その後のホープなのであろうと思う。

曲目、

1. Hiding in Ethereal Mist  09:25   
2. Walking Alone Among Spectral Trees  09:27   
3. Utter Isolation  12:26   
4. Yearning for a Wintry Sunset  10:28   

Total  41:46 

♯1はyoutubeにリンクしてあります。

bandcampÜksildus