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Arenna / Given to Emptiness (2015)

スペイン産ストーナー/サイケデリックロックバンドの2nd。
Nasoni Recordsから500枚限定でリリースされた。

kyuss直系のストーナーロックに、
スパニッシュな素養を落とし込んだバンドである。
そのkyussに、スパニッシュギターの悠々たる音色や、Pattoなんかの70年代的オールドセンスの相まっていた前作1stだが、
本作では、それを薄め、アトモスフェリックかつサイケデリックな雰囲気が佇むようになった。

概ねじわじわと良さが判っていくタイプのアルバムであるからして、
地味な印象はあるものの、やはり単なるkyuss直系ストーナーロックと言うだけの次元からは脱していて、
心地よく澄んだサイケ要素も、Hawkwind風味の多彩なエフェクトのギターワークも、同一リフによりトランス感覚を生み出すベースワークも、どうしようもない場末感も、
その全てが一つ一つ平坦な路上に乗り込んでくるように、胞子のようにゆっくりと、そして確と心に訴えかけてくる。

そんなミニマムな展開が多めかつ、インストゥルメンタルに重きを置いた作風に挿入されるボーカルワークは、
スペインのジャズ喫茶通いみたいな繊細な情緒と力強さのある声で、時にトラッドな歌い方をしている。
そんなバンドアンサンブルが情景に投影するは、場末の古びたバーを麗しく染めていくかの如く、雅致を見い出せる。

結果、清潔感と毒々しさの同居した鮮麗なアートワークに惹かれそうなものの、
音は二の次みたいなことは無い。
また、総じて芸術家気質の作風なものの、
今回もある70年代的オールドセンスの御蔭で、ゆったりと聴きとおせる良作に仕上がっている。

曲目は、

1. Butes  10:20  
2. Visions of Rex  06:29 
3. Drums For Sitting Bull  06:16  
4. Chroma  08:59 
5. Move Through Figurehead Lights  07:01 
6. The Pursuer  06:15  
7. Low Tide  01:40   

Total  47:00  

♯5はyoutubeにリンクしてあります。