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寝て起きれば、仕事。寝て起きれば仕事。
勤めれば、期せずとも微睡み、
微睡めば、明けである。

この明けが暗く感じられる人は、
働くべきでは無いのだが、
規範的生活を強いられる社会では、
赦される訳もなく、
ただ、勤め寝て起き勤めるだけ。
憂うつな歯車は、何を思えば良いのだろう。
感情の介入が赦されるのなら、私はどんなに幸せだろうか。
今は何も感じられないのだ。

しかし奴隷に感情等は必要なく、ただ職務を全うすれば良い。
奴隷がやろうが誰がやろうが、大抵の職務の結果は同じなのだ。
職務が終われば酒を飲み、朝まで惰眠を貪る。

行動力の無い人間にとって資本主義はつまらない。資本になり得ない物を愛する人間にとって資本主義は必要がない。
必要がない思想を押し付けるのは邪でしかない。行動力の無い人間にとっての終着駅には、絶望しかない。

その絶望の暗闇に指す光さえ、欺瞞でしかない。

暗闇に指す光は、必ずとも救いにはならない。
光とは人間から奴隷への同調圧力なのだから。

そして、私は人間ではない。

峡谷の木々は月明かりに染まりゆき、哀惨の郷愁を俄に醸し出し始めた層雲峡の夜、私は、郷里への漠としながらもまだその聡明さの生きる記憶の宇宙から亡き同胞の面影を偲びつつ、ただ宵の明星から放たれ幾重にも交わり千々に乱れる虚しき陰影の隅にて、ただ追憶に耽るのみである。