Saturnalia-Temple-Aion-of-Drakon-2011-by-Argento
Saturnalia Temple / Aion of Drakon (2011)

スウェーデン産ドゥームメタルバンドによる、1stフルレングスアルバム。
Nuclear Winter Recordsよりリリースされた。

このバンド、ギタリストのTommy Eriksson氏は、初期のNocturnal RitesやTherionでドラムを叩き、TherionでのVovin とCrowning of Atlantisではギターを弾いていた経歴を持つ。
しかしながら、このバンドの音楽への関連性が在るのかは謎だ。

音楽性としては、Electric Wizardのサイケデリックな妖しさ卑しさに、SleepやOm等での、涅槃やマリファナを想起させる一種の狂性を孕んだ、密教的且つ、酩酊するカルトドゥームである。

要するにElectric Wizard、SleepやOmの重い方の音像と共振した音楽と成るのだが、
敷居を通せん坊する難解さは、そこでは無邪気な程解りやすく、そしてそうありながらも良く作り込まれていると言いたい。
しかし、明るみには決して出て来やしない、そんなカルトドゥームの宿命と言うべき胞子がぷかぷかと舞い上がる。

カルトと言うのは、ボーカルやバッキングが何処となく密教的であり魔術的で洗脳的で在る為に用いられた形容句だが、殆どは、同じリフ同じフレーズが反復し醸し出されるトランス感覚によって産まれる酩酊型のドゥームメタルである。
其処に被さる脳が蕩けるようなギターソロ(♯2で)や、強かな構築美、先での酩酊感や、禁じられた遊びみたいな狂気や、儀式的アトモスフィアに微睡む暗み等が、心を侵食する、正にそういったようなメタルアンダーグラウンド好きのツボをいくつも抑えてくれていると言うのが、結果として単純に愛おしくもあり、また先で触れた「密教的且つ酩酊するカルトドゥームである」への別見地的な要因でもあるのだ。

それはタイトルトラックの♯3に於いて顕著であるが、全体を通しても一貫したその密教的なムードと、バラエティに富んだ楽曲で、かの儀式みたいなサウンドスケープへと誘ってくれる。
つまりはそれがAion of Drakonと言う名の魔術であり、この作品へ中毒性を魔力を秘める訳で、其れこそが今尚私を魅了して已まないのである。

と言う訳で、反復涅槃トランス酩酊マリファナ等、そんなこの手の音楽への常套句が苦に成らない方へお勧めですが、意外と聴きやすいのでみんな聴こうじぇ~(ちびまるこ山田)。

曲目は、

1. God Is Two  03:17 
2. Black Magic Metal  10:02
3. Aion Of Drakon 11:01 
4. Ancient Sorceries  10:35 
5. Sitra Ahra Ruled Solitary Before the Creation  06:40 
6. Fall  07:24    

Total  48:59  

♯3はyoutubeにリンクしてあります。