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Kuolemanlaakso / Tulijoutsen (2014)

フィンランド産デスドゥームKuolemanlaaksoによる2ndフルレングスアルバム。
Svart Recordsよりリリースされた。

Swallow the SunのボーカルであるKotamäki氏が歌っていることで知られるこのバンド。
前作に引き続きDark FortressやNoneuclid、TriptykonのV. Santura氏が、♯1♯2♯3♯7♯8でギターを弾き、プロデューサーも兼業し、レコーディングに加えミキシングとマスタリングも手掛けている。

音楽性としては、Swallow the SunからMy Dying Brideの暗澹を進むデスドゥームで、美麗さとアグレッシブさを頬張る知的耽美な陰鬱ペーソスサウンドである。
ボーカルは、クリーンボイスとグロウルを使い分けており、自分の声をバックに重ね、物悲しいクリーンボイスと悲哀に満ちたグロウルで、いと儚き世界観を構築している。
ギターは、Swallow the SunやOpethライクな、静と動の切り替えを好んで使うタイプで、重厚なリフと陰鬱に微睡むアルペジオに時々アコースティックな感触も交えており、デスドゥーム然としながらにドラマティックな音を鳴らしている為、最近のDark Fortressにも共通するような美的な趣きを感じる。
またベースは、ドラムに合わせてそつなく弾いていると見せかけて、実はキーボードと共にメロディメイカーとして一役買っており、共にやはりデスドゥームとしての哀感を放出している。

此処へ来て出尽くした感の在るデスドゥーム界隈の中では、その音で暗澹を体現しながらも、未來への可能性を感じるアルバムに仕上げてきており、それは偏にV. Santura氏の尽力のお蔭と言えば話は早いのだが、Dan Swanoの世界やBorknagarの音楽偏向を思わせる幽玄で少し古めかしきキーボードの素養(♯6に於いて顕著)や、♯3での鐘の音色を用いたあまり見ないタイプのデスドゥーム、♯6でのジャジーでフォーキーなプログレ音楽、♯7でのデスドゥームのツボだけ抑えたマエストロ的な構築美とSwallow the Sunの如く切迫するペーソスは、正に崖の上に孤立したシャトーの古時計を彷彿とさせるサウンドスケープを展開していると言え、その手の好き者には胸を張ってお勧めしたい至福の一時であり且つ、総じてメランコリックと言うよりかはアグレッシブな音で、昨今のエクストリームメタル界隈にも一石を投じ得る音像である様に思う。またコマーシャルではないジャンルの音楽なりに、比較的聴きやすい音像にも思う。と言う訳で大元の部分でデスドゥームな為エクストリーム云々はともあれ、Swallow the Sunや、My Dying Brideは勿論の事、最近のParadise LostやV. Santura氏のお仕事が好きな方ならきっと気に入るであろう一枚だ。

曲目は、

1. Aarnivalkea  07:30 
2. Verihaaksi  09:03 
3. Me vaellamme yössä  06:13 
4. Arpeni  07:45
5. Musta  07:22
6. Glastonburyn lehto  05:23  
7. Tuonen Tähtivyö  07:55
8. Raadot raunioilla  06:06 

Total  57:32  


♯7はYoutubeにリンクしてあります。