MorbusChron
Morbus Chron / Sweven (2014)

スウェーデン産デスメタルバンドによる、2ndフルレングスアルバム。
Century Media Recordsよりリリースされた。
タイトルのSwevenとは古期英語で眠りを指す。

彼らの今までの音楽性であったオールドスクールデスメタルからは、今回からがらりと変わっており、CynicのKindly Bent to Free Usみたいなオールドスクールプログレ的、OblitelationのBlack Death Horizonみたいなブラッケンドドゥームデス的、古めかしいプログレッシブデス的na音楽をやっている本作は、
ボーカルもブラックメタルの歌い方に近いので、ほぼほぼデスメタルではないと断言できる。
だがしかし、滅茶苦茶素晴らしい作品に仕上がっているのは、海外の年間ベスト記事などを見れば言わずもがなで、
個人的にも今年一番良かったアルバムに推したい作品だ。

全体を通して、仄暗く仄明るい夢想の世界を揺蕩い始まる♯1から、諸々の色々を通過して目覚める夢オチとなっている訳だが。
その情景と構成とが完全に音として現像されており、完全に巧く展開されている、完全にと思った瞬間には、完全に夢を彷徨っている。
それは、暗闇を見つめたとき、暗闇を見つめているのだ、と思わず言ってしまう程の没入度、またクオリティの高いアルバムの構築力、展開美だ。

音像としては、昨今のプログレッシブデス勢にありがちな、テク一辺倒のバンドアンサンブルではなく、技術を魅せるのに程よい塩梅である為作風や流れを重んじて弾いている様に感じられ、
それは全編聴いても聴き疲れすることはなく、タクシードライバーの様な良い映画を観終わったような感慨に浸れる。

その辺には、昨今のトラディショナルドゥームリバイバルムーブメント然とした、古き良き音楽へのリスペクト精神も多分に感じられ、
もし実際に、この良質オールドスクールデスメタルバンドが、そこを目指したのであるなら、私は英断と思う。
※因みにこの思いは、昨今のテクニック一辺倒なプログレッシブデスメタル乃至Djent勢はあまり好きになれない上に、居過ぎだ、と言う個人的な感慨と、先ほどの昨今のトラディショナル云々との混沌とした、精神のお祭り騒ぎ。

ベクトルは違えどこのバンドは今や、Autopsy、Opeth、Cynic、Tribulationに続くとも言える、一段と古風な音を嗜好するデスメタルバンドと成っているのだ。

総じてこの仄かに暖かい音は微睡み、無意識の安寧の中で時に激しさを交えつつも、幽かに綻びゆき、そして優しく胸に響き渡るのです。(♯1~♯10)
 
曲目は、

1. Berceuse  03:18   instrumental 
2. Chains  04:49
3. Towards a Dark Sky  07:49
4. Aurora in the Offing  05:01
5. It Stretches in the Hollow  05:10
6. Ripening Life  06:46
7. The Perennial Link  05:16
8. Solace  02:14
9. Beyond Life's Sealed Abode  05:41
10. Terminus  06:38   instrumental   

Total  52:42  
感動した!