Mekong-Delta-In-A-Mirror-Darkly-Artwork
Mekong Delta / In a Mirror Darkly (2014)

ドイツ産プログレッシブスラッシュメタルバンドによる、11thフルレングスアルバム。
SodomやHiraxの在籍する、Steamhammerよりリリースされた。

いつの間にか出ていた本作、いつの間にかバーンレビューにて低めの得点をつけられていた本作。
いつの間にかアマゾンレビューで緑川とうせい氏が、例の如くマイペースに批評されている本作。
私にとっても中々好きなアルバムなので、ここで某氏達に倣って紹介したいと思う。

2012年のセルフカバーアルバムをフルレングスとして数えて11thと表記したが、
それを抜いて数えれば丁度10作目となる節目の作品で、再始動後から数えれば4作目となる。

本作の音楽性として、今までの絵にかいたようなHentai奇天烈シアトリカルプログレッシブスラッシュメタルは、スラッシュ的アグレッションが減退して、プログレの空気感やテクニカル方面の一体的かつ立体的な構築力が濃厚になり、そして全編を通して一つの組曲かの如き構成を成し示しているようだ。と言うのが心象に残る次第。

中でもボーカルが徐々に劇の様に盛り上げ、劇的に切り替わることで幕を開ける♯4の、その変わり際でのタメの効いたプログレッシブなグルーヴパート等は、正にオーケストラの如くなMekong Deltaサウンドである。

そのサウンドは全体の流れとして、Cynicの持つプログレ的な神秘性漂う中で、Atheistの復活作(Jupiter)のような間を埋めるかの如き変拍子の応酬で圧倒するバッキングを、Martin LeMar氏によるパワフルかつ劇的な歌唱で歌い上げることにより更に聴衆を掻っ攫って行く、捻くれテクニカルメタルのプログレ抒情詩とも言えるだろう。

またその諸々を孕んだ抒情詩が、異様に濃縮されネズミ花火の如くにくるくると展開しているのが今回の特徴でもある。
その所為でなのか、いつもより若干世界観が判り易く、受け取り易くも在りながら、
何処かその独自の世界観の中で、こじんまりとした印象を受けてしまう。

だがしかし結局の所は、相変わらず独自の道を行ってくれる変態ワールドなので、
ファンや変態なら間違いなく楽しめる音であるように思う。
CoronerやBeliever等のテクニカルスラッシュ好きには勿論の事、AtheistやSadist等のテクニカルデス好きでも十分楽しめる一枚に仕上がっているのではないだろうか。

Mekong Deltaの新作は、神秘性の漂う中で捻くれた変拍子と劇的な歌唱とが織り成す、
非常に良く出来て非常に良く纏まった奇譚プログレッシブ抒情詩だったのだ。
結果、この音像を好意的に書き表すとそうなる。

まあ、最高だわな。

曲目は、

1. Introduction 02:12
2. Ouverture  05:04
3. The Armageddon Machine  06:39  
4. The Sliver in Gods Eye  05:34 
5. Janus  06:43
6. Inside the Outside of the Inside  06:02 
7. Hindsight Bias  05:26 
8. Mutant Messiah  07:14  

Total  44:56