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We All Die (Laughing) / Thoughscanning (2014)

フランス人のDéhà氏 (See also: Clouds, Deos, Imber Luminis, K.F.R, Maladie, Merda Mundi, Slow, Vaer, Yhdarl, ex-Deviant Messiah, Alenda, Aurora Borealis, AutoDestructionNeeded, COAG, Eat Their Crusts, GigaPenzor, Ignifer, Jah El Camino, Khel, NØD, ex-DunkelNacht, ex-Ithilien, ex-Wunde)と、
ブルガリア共和国のブルガリア人Arnaud Strobl氏(See also: Carnival in Coal, Tridus Elasticus, ex-Maladaptive, 6:33 & Arno Strobl, KrOaK, ex-Burgul Torkhaïn, ex-Funny Crime)による、
アヴァンギャルドプログレッシブブラックメタルユニットのデビュー作。
Kaotoxin Recordsよりリリースされた。
Maxime Taccardi氏によるアルバムジャケットが鮮烈だ。

先ず「我々は皆死ぬ(笑い)」というバンド名が結構な飛び道具だが、
その他に33分全一曲と言う飛び道具と、
メタル作品のボートラでAmy WinehouseのBack to Blackのカバーが収録されていると言う飛び道具も直ぐに出てくる。

また、彼らは音楽性も変わっており、
先で名を挙げたAmy WinehouseのBack to Blackをアヴァンギャルド乃至プログレッシブブラックメタルに変え33分にしたような雰囲気で進行する1曲目は、
憂いのあるアルペジオから、ブルース調の朗らかなベースが力強く入り、そこからまたギターとボーカルが力強く入ってくる。
このギターのブルージーで渋い演奏がなにより心地よい。
メインボーカルの歌唱は黒人音楽からの影響を匂わせ。
そこにバックボーカルによるコーラスが交わると、まるでSystem Of A Dawnのようなヘンテコかつ面白い広がりで魅せてくれる。
そしていろいろ小話し的な展開やパワーコード的なコーラス、笑い狂ったような歌唱とアヴァンギャルドな音の運び、In Vain張りの大盛り上がりを経て最初の展開に帰結する。

続くカバーは前の曲を濃縮したような濃密な一曲となっている。

ブラックメタルとしての音楽的素養はあまり感じないが、確かに暗黒の雰囲気を纏わせている。
そしてアヴァンギャルドだが非常に聴きやすい、言わば死に対するポジティビティがある、暗黒の裡で暗くはないのだ。
これは我々は皆死ぬ(笑い)というバンド名も納得の音楽性である、

暗黒の中で笑うどうしようもない虚無的な感性。
被虐趣味の果てにあざ笑う木偶人形が。

あまりジャンルの型枠に嵌らないバンド乃至アルバムそのものに対して、
「Deathspell Omegaの不穏さと○○のアグレッションを足したような」とか、
「○○にEyehategodの憎悪をぶち込んだような」とか、
「Katatoniaのような」等々、
他のバンドを引き合いに出して色々言ってしまう私ですが、
本作は「のような」で纏められ括られるにはあまりに惜しい、その音楽性についての新たな金字塔的な力作に仕上がっているように思う。

以下は曲目、

1. Thoughtscan  33:07
2. Back to Black (Amy Winehouse) 04:26
 
Total  37:33